UGANDA/ウガンダ共和国 Farm of Africa UGANDA/ウガンダ共和国 Farm of Africa

2016年より日本人のご夫婦がカカオとバニラの栽培をスタート。現在は5ヘクタール程の自社農園をKayunga地区Kasawoに持ち、3年目に突入。うち2ヘクタールにカカオの木が栽培されており、2023年にはいよいよ自社農園のカカオが生産される見込みだ。

トレーサビリティ 徹底管理されたウガンダ一の高品質カカオ豆

彼らのさらなるこだわりは自社農園に隣接するポストハーベスト施設*だ。収穫されたカカオはまずカカオパルプがついた状態で選別作業が入る。ここでは腐った豆などはもちろん、プラセンタと呼ばれる軸となる部分を取り除く。こうすることでより均一な発酵ができる。

その後1トンのプラスチックボックスに投入し発酵させる。一般的にカカオの発酵というとバナナの葉で包むヒープ法もしく木箱で行うボックス法があるが、Farm of Africaは衛生面、均質面を重視してこの方法を使用している。発酵過程では温度・水分値を管理しベストなタイミングで発酵を終える。

次の乾燥工程では水分値7-8%になるまでテーブルで乾燥させる。水害を防ぐためにコンクリートで高さを持たせ、屋根がついた風通しの良い施設で均一に乾燥できるような設備となっている。

しっかりと乾燥されたカカオ豆は袋に詰める前に日本人も驚くほどの厳しい選別基準で丁寧にグレード分けされる。サイズが大きくきれいなものは日本をはじめBean to Bar市場へ、それ以外のものは国内の買い付け業者へ売り込むことで無駄なくカカオ豆を販売している。

日本人ならでは!丁寧な手仕事で雇用も創出!

ARTISANS FARMの事業範囲は高品質なカカオ豆を生産する事だけではない。ここにさらに付加価値を生み出している。それが「HAND PEELED COCOA NIBS」である。読んで字のごとく、手剥きしたカカオ豆(ニブ)のことであるが、これが世界のカカオ・チョコレート市場を見てもとても珍しい。

何がそこまで珍しいのか。一般的にカカオニブといえばチョコレートの製造工程前半で生産されるロースト(焙煎)された、クラッシュ(粒々)なものであるのに対し、この商品はホール(カカオ豆そのままの形)で、ロー(非加熱)である。それを可能にしたのが日本人ならではの丁寧な手仕事なのだ。機械ではまず不可能だろう。実はカカオ豆は発酵し、屋外で乾燥させるので外皮には雑菌が沢山ついている。もちろんFarm of Africaのカカオ豆は前述の通り、衛生的な環境でポストハーベストを行っているため他産地のカカオ豆と比べると格段にきれいなのだが、ここでも手剥き作業の前に良品を選別している。外皮の混入を限りなく減らすことで製品の衛生基準を高く保っている。

さらなる挑戦へ — ウガンダで新品種の栽培

自社農園の運営と自社施設での高品質なカカオ豆生産、唯一無二のカカオニブ製造の他、今後の展望としてウガンダで新品種を栽培、普及させる。ウガンダの国立研究所と連携しイギリスからICS6(原産国:トリニダード・トバゴ)とRIM189(原産国:メキシコ)という品種を持ち込んだ。現在同研究所内で苗木の生育段階のため、お披露目はまだ先の話だが、そもそも品種特定が困難なウガンダで世界的にも希少な品種の栽培に成功すれば同国のカカオ産業に大きな寄与を果たすことになる。外国人が一国の産業を変えるとは夢のような話だが、実はウガンダのカカオ産業は発展途上の段階のため、外部からの知見と先駆的な活動が必要なのである。

ウガンダのカカオ産業、現状

ウガンダのカカオ生産量はおよそ40,000トン程度で、その多くは西部、コンゴ民主共和国との国境沿いのブンディブギョで生産されている。しかし、ほとんどのカカオが発酵されずにパルプがついた状態で乾燥のみ行った未発酵豆として流通している。(現地の人はみなこれを「サムサム」と呼んでいた。恐らく天日干し乾燥=Sun dryに由来しているだろう。)

生産量上位のコートジボワールやガーナと違い歴史的に見ても、カカオの生産が国策としてあまり重要視されていない背景もあり、収穫後の処理(発酵、乾燥)方法が認知されていない印象を受けた。農家は早く現金化したいために1週間ほどかかる発酵を省いている。しかし国や多くの買付業者は発酵に関する品質条件ではなく、水分値の品質条件を重要視しているため結果としてウガンダ全体のカカオの品質は低く、ココアパウダーやココアバターを製造するためのカカオ豆としてしか扱われてこなかったのだろう。

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